■月例歌会高点歌■
タブ↓ シフトタブ↑
九月高点歌【輪】
一席02:雨どいを伝はる水の音の輪が見知らぬ地下へしづみゆく午後 かめい
一席07:秋水に石とんで輪が二つ三つ夏の日のこと一つずつ消える みもざ
一席08:霧流れ丘には風車輪を描き回してる風の腕見ました タカ
二席09:前生は猫ならましかば、と思ひても、蛆かも知れぬ輪廻なりけり。 もぐら
二席01:昔なら鼻歌に出る「銀輪」が、環七走る我が物顔で。 mi-ta
八月高点歌【涙・泪】
一席05:すずめすずめ雀の涙ほどの幸われにもありて朝をことほぐ かめい
二席01:そんなこたぁどうでもいいじゃないですか。はかなき老母の背に涙する。 mi-ta
二席02:幼子は泣きじゃくりつつ舐めており涙も洟も二つながらに タカ
二席03:世を恨む黒き涙のごとくにも藁にお崩せば蟋蟀散りゆく みもざ
二席07:破れしがゆゑの涙は無くなりて、勝ちしがゆゑの涙ばかりなり。 もぐら
七月高点歌【天の川・花火】
一席02:いやまだと浮世にしがみつくような赤い火の玉線香花火 mi-ta
二席04:何時か寝て銀河鉄道の行き先は天の川へハンドルきりて タカ
二席07:天の川に架空の橋をかけやうと冷たき鉄の杭打ちゐたり かめい
二席08:しゅるしゅるるねずみ花火があばれだす狙いは猫さ目の前でボン mi-ta
二席10:花火揚げやんやの末にじゅと落つる先は、中空天の川なり。 もぐら
六月高点歌【落】
一席01:テーブルの薔薇は夜半にため息を吐くごと匂い床に墜ちたり みもざ
一席04:石段をかたかたかたとビー玉が落っこちてきて行ってしまった かめい
一席06:遠吠えの声などすれば三日月が落っこちさうな長い坂道 かめい
二席07:どうでもよいことにはあれど某社長落とした十円拾いに走る みもざ
五月高点歌【芽】
一席01:くちなしの葉の芽さみどりむしばみて太りゆく虫喰ってやらうか かめい
一席03:こころには芽の如きもの出でにければ、それは人恋ひ。春の宵なり。 もぐら
二席02:薔薇を剪り調えながら花の芽の雨滴そのまま白磁鉢に挿す みもざ
二席07:何か芽の出でし如きの顔すれど、良きか悪しきか知らぬ吾子なり。 もぐら
二席10:夜を走り京都鞍馬に荷を下ろす夫への土産は木の芽漬け買う みもざ
四月高点歌【開く、咲く】
一席02:望郷の想ひ鮮烈に消すが如く、パリの冷気に八重桜咲く。 もぐら
一席03:胡麻の花にひらけひらけと呟いて見守るやうにしゃがみこむ人 かめい
一席10:咲き乱れ香り籠もれり空間に破り入りてや盗人になり タカ
二席01:咲く花が蝶も蜂さえ人までも集めてひと時祭りにうかれ タカ
二席07:「良心」は神の心の反映と胸襟開く友の微笑み mi-ta
三月高点歌【ガラス】
一席10:今日もまた恥を重ねて日が暮れる硝子に写る素顔撫でみつ みもざ
二席06:いさかいに疲れし心安まむとくもりガラスの部屋にこもりぬ mi-ta
二席07:ステンド硝子の端より緑光差し込めり何かよい事ありそうな朝 みもざ
二月高点歌【恋】
一席05:つつがなく月が夜空を満たすとき恋する猫はつつましくあれ かめい
一席07:老梅は、なほ春恋ふが如くして、くれなゐ一輪咲き出だしけり。 もぐら
二席01:君が演歌歌えば私はハモっているこれが恋というものかしら みもざ
一月高点歌【初】
一席04:初夢と思ひしものは、あまりにも現実そのものなりしを哀しむ。 もぐら
一席05:初富士の稜線のごとさやかなる巫女のかんばせ神殿に見ゆ mi-ta
一席06:としかさね潰されそうなからだでも初日の出には母手を合わす タカ
二席08:ビルの谷初荷のトラック走り行き四角い空にアドバルーン浮く みもざ
十二月高点歌【踊】
一席04:踊り子の編み笠仮面のようにして秘めた想いも胡弓にのせて タカ
一席09:かざしもの明るい空に小雪舞ふ亡者の踊りをるかのやうに かめい
二席01:きのふまでゐし落ち葉なれど、舞ひて舞ひて舞ひて遥かの西の空かも。 もぐら
二席03:窓越しに見れば枯葉の舞い踊り葉擦れの音に心ざわめく mi-ta
二席06:ふるさとの神楽も踊りもまれになり生贄の台も朽ちかけたり タカ
十一月高点歌【霜】
一席10:霜柱を踏めば地虫が鳴くやうで冬枯れてゆく野道は楽し かめい
二席04:ざくざくと霜柱踏み棒をとる焚き火の中の芋はふけたか mi-ta
二席05:霜柱踏むとふことの絶えにける、温暖化せし街を哀しむ。 もぐら
二席09:照明の消えたリンクに霜降ればミラクル真央の尻餅の跡 かめい
十月高点歌【紅葉】
一席06:紅葉焚きて温めし酒をちびちびと喉に流せば、老いも天国。 もぐら
二席01:足裏が覚えておりし紅葉積む杜の小道を君とあゆまむ みもざ
二席02:目の置き場いつしか低く探したり二人が憩う紅葉の敷物 みもざ
二席04:前菜に添えられし紅葉ひと葉忙中に座し色をも食みて タカ
九月高点歌【穴】
一席08:穴に入り隠れたりける大臣をし、褒めてありける我等悲しも。 もぐら
二席01:洞穴の史跡の柱傾きて流浪の民がズボン干ゐる みもざ
二席05:棒切れで土塀を撫でて歩いたら、あ、穴あきバケツとおなじ響きだ かめい
二席04:赤い橋のたもとで道は息をする水のにほひの風にひたされ かめい
八月高点歌【道】
一席01:敵機来襲に母は避難路間違えり 20年後のその日私は生まれた みもざ
一席02:山の径一人下りて街に棲む 今その道を子と共に還る みもざ
一席03:あかときのお稲荷さんの参道は鳥居がシェーをしてる気がする かめい
一席04:赤い橋のたもとで道は息をする水のにほひの風にひたされ かめい
一席08:直線を点線に変えたような道の地割れの奥に魔力の気配す タカ
七月高点歌【夏の風物】
一席03:浴衣着ていい人待っているんですか いいえ団扇で蚊をなだめてるの みもざ
二席05:金欲し、の心嵩じて、天保銭鋳潰し、ちろり風鈴となす。 もぐら
六月高点歌【葉、流れ】
一席04:ヘッドライト廃車の下に流れ込み兵馬俑のごとき土筆を浮かす みもざ
一席07:葉隠れのでんでんむしにうづまいてぐるぐるまきの雨が落ちてくる かめい
五月高点歌【オノマトペ】
一席07:まんまるい石を沈めた日の午後のざぶろんざぶらざぶるをん海 かめい
一席10:長く病む女房の髪の、愛といふ字でも隠れてさうなぼさぼさ 摂津
四月高点歌【さくら】
一席06:散りながら満つる桜の、億千でありて一でもあるその命 摂津
十一月高点歌【紙】
一席01:紙の色は濃きも薄きもあるものを、見分けのつかぬ人ぞ悲しき。 もぐら
ニ席04:UFOはラップの芯の紙筒で見つめる空にあつまってくる かめい
十月高点歌【安】
一席01:安心はいつもその地に確とあり東府中に母在りし日は サイキア
ニ席04:安穏と昼寝貪るわが犬よ主は散歩に足をくじけり さよこ
ニ席06:安楽も尊厳もなほ問ひのまま真白き午後に祖父の見るゆめ 皆瀬
ニ席16:ゆらゆらと鳩と人とが歩みゆく今日のおつとめ果たさんとして ゆらゆら
九月高点歌【声】
一席05:なき声のトーン変えつつわが家に犬は慣れたり二十日を過ぎて さよこ
ニ席01:蝉の殻切りて刻みて天扶羅に揚げて、じいじい秋の声かな。 もぐら
ニ席11:秋の声音をふふみて夕べ風は吹く君の目尻の泣きさうな笑み 皆瀬
八月高点歌【光】
一席11:夕蝉の声は儚し台風の夜(よ)に生れし子の31年 さよこ
二席07:少し余裕ができて見上げる大空の今年はじめてみる入道雲 皆瀬
六七月高点歌【雨】
一席03:よだれあめなみだはなみづどろみづとなつのひかりで出来てゐる頬 摂津
二席04:時雨どきメールを待っている孤独アールグレイの葉がひらくまで ベティ
三席12:もぞもぞと桃の木の根が雨あがりの水の苦みをほどきはじめる かめい
三席09:オルゴールバージョン的な雨が降るいつものまちはどこかやさしい ベティ
五月歌会 休会
四月高点歌【光るもの】
一席05:すれちがふ言葉あかるき雨に似てハノイからきた少女だらうか しぐなす
二席10:春ひなた 知らないうちに女房とのけんかに俺は負けてたらしい 摂津
三席01:死にしもの放つひかりの青さかな父の時計を月にかざしぬ ぽっぽ
三月高点歌【動物】
一席13:春あかつき蛞蝓たちの這ひ跡にてらてらと大き交点のあり 摂津
二席06:地下街と地上隔てる石段にリード引きづる犬の座れり さよこ
二月歌会 休会
正月高点歌【二首一組】
一席07:夕空に羽根きしませて飛ぶ君を追ひかけるための翼がほしい しぐなす
わがつばさ冬夕焼に染まるときあなたを抱く腕(かひな)がほしい
ニ席01:ひとひらの絵葉書に乗る時間なり阿蘇より君が送りくれしは ゆらゆら
みかんのような夕日が落ちるという空を見に行こうよねお結び持って
ニ席09:スプ−ンに口あくる母よ 兄とわれに英語を教えくれましし母 さよこ
整然と母の箪笥に残りたる幾たび水をくぐりし下着も
ニ席10:秋の風吹くころ祖父はたのしげに喧嘩相手の健在を言ふ 皆瀬
砂紋のごとき皺うかべつつ破顔する祖父に供へる柿の実ふたつ
ニ席11:モルヒネを点滴されて玩具乞ふ母は童であれば泣きつつ 摂津
老い母の頭を撫でてゐる 吾の目を見て父さんと呼びくる母の
ニ席14:いのちより大事なものの二つ三つありて楽しき春の宵かな ゆらゆら
おかめひょっとこ賀状に捺しつつほのほのと嫁に行くのもいいかと思う
ニ席15:カタカナでしか愛せない秋葉原の冬青空に乾く稲妻 しぐなす
新宿の空にしたたる寝待月ああ誰かひらがなで殴って
ベストペア賞14:いのちより大事なものの二つ三つありて楽しき春の宵かな ゆらゆら
おかめひょっとこ賀状に捺しつつほのほのと嫁に行くのもいいかと思う
十二月高点歌【音を詠みこむ】
一席10:留守電の声消さざれば亡き友は今日も朗らに転院を告ぐ 摂津
二席20:繋がれてゐる安寧よ電柱はいづれも少しかたむいてゐて 摂津
三席07:まどろみの淡いひかりに3Bの鉛筆ころがるあたたかい音 しぐなす
十一月高点歌【匂いを詠みこむ】
一席&ベストフレーバー賞 11:ただいまの代わりに鼻をすり寄せる猫は夕陽のにおいをさせて ぽっぽ
二席 01:薫煙剤にまかれて落つる蚊のごとく戦火にぽとりぽとりゆふやけ 皆瀬
二席 20:夕立のようなあなたの汗を吸う土になるのはいつも切ない ぽっぽ
三席 09:鉢植えのバジルを愛でる昼下がりパスタ日和はひなたのにおい ベティ
三席 16:わがものにならざるままに吹き抜ける金木犀のきんいろの風 しぐなす
十月高点歌【色の名を詠みこむ】
一席 08:秋青空 妻に愛など囁いてみたい気がしてしまふ気がする 摂津
二席 04:わたくしは透けていますか黄昏を丸く沈めて猫の瞳は ぽっぽ
三席 10:をさな子は青き蜜柑のにほひしてわが惑星を吹き抜ける風 皆瀬
三席 14:うす青き煙草のけむり真夜中の時計の音に揺れて消えゆく ぽっぽ
九月高点歌【履き物】
一席 10:分るわつて言葉の、なんか雨の日のスリッパの底みたいな感じ 摂津
次席 04:スリッパにも味の違いがあるらしく子猫は青きスリッパを咬む ぽっぽ
次席 22:ゴム長は古いと陰が濃うなったり風を吐いたりするものなんよ 摂津
ガラスの靴賞 12:憧れは寸先の宙(そら)ポアントのただ一点を地に繋がれて ゆらゆら
八月高点歌【ゆめまぼろし】
一席 02:夢ならずまぼろしならぬ乳房とふ、熱きをけふは知りにけるかな。 もぐら
次席 16:俺の胸で眠る子の手に深々と俺が包まれゐたる夏の夜 摂津
三席 19:まぼろしと呼ぶには甘くほろ苦く失恋の日のカフェ・マキアート ベティ
三席 20:ベットより身を起こしたりうす青き抜け殻さらさらシーツに残して さよこ
敦盛賞 16:俺の胸で眠る子の手に深々と俺が包まれゐたる夏の夜 摂津
敦盛賞 22:そんなにむかしのことぢやあないさ空へむかふ夜汽車で猫が目を細めをり 皆瀬
七月高点歌【果物を詠み込む】
一席&爽果賞 17:顛末を尋ねる妻と末のみを答へる子との午後 あんず煮ゆ 摂津
一席 15:西日さすあなたの部屋に食べさしの白桃あるを言わで別れし 小夜子
六月高点歌【水・無・月】詠み込み
一席 08:駅前に君を待つ午後噴水が小さな虹をつかまへてゐる 皆瀬
次席 01:このことは言うべからざると水無月の雨だれ土にしみ込むを見つつ 治平
次席 20:父と子が寝息で話す 山彦が山彦を聴くさみしさに似る ぽっぽ
五月高点歌【初】
一席 14:濃く薄くみどり重なり初夏の繭しづやかにわれを包みぬ 鞍良ひな子
次席 10:史上初の一秒が来るあはれまた一秒が来るあはれまた来る 摂津
次席 08:初摘みの指すばやくて新緑のグランドピアノ奏でるごとし 鞍良ひな子
四月高点歌【化】
第一席 04:白日に素顔晒して歩きたり化けることさえ空しき今日は 小夜子
第一席 13:深奥にさらなる進化いだけるや海は朝日をはねて凪ゐる 皆瀬
第一席 25:産みしことの誇りもなくて男らはもろき肢体を折りて眠りぬ 鞍良ひな子
三月高点歌【スタート】
第一席 10:内示受けほころびそうな細胞を辞令の日までにしゃんと立たせる 長谷俊
第二席 15:鶯の初音聞きたりブラウスにゆるくアイロン滑らしながら 小夜子
タブで頭 シフトタブ↑